昔からテレビは赤ちゃんに見せていいのかという論争はよく見かけたものです。
昔は情報源というとテレビしかなかったのですが、現代ではテレビに加えて、スマートフォン、タブレット、パソコンなど様々な電子機器が増えました。
そのため簡単にさまざまなコンテンツに触れることができてしまいます。
テレビしか情報の媒体がない昔にテレビ無し育児の話をするとたくさんの方に驚かれました。
しかし、近年ではどこでも気軽に情報や動画を得られるスマートフォンやタブレットが普及するにつれて、「情報が多すぎて、デジタルデトックスをしている。子どもにはテレビは見せない」という親も増えていると感じます。
それでは赤ちゃんや子どもにはいつからテレビを見せてもいいのでしょうか。
たくさんの方から注意点や対応方法があれば知りたいとお声をいただきましたので、まとめていきたいと思います。
テレビや電子機器の注意点は次の4点です。
- 子どもに起こっているテレビの弊害とは
- テレビは2歳未満の子どもには一切必要ない
- テレビ画面はできる限り大きいものを選ぶ
- メディアとの上手な付き合い方注意点とその対応
1つずつ説明しますね。
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いくみん先生
自身の留学経験をもとに英語教室・学習塾を立ち上げる。結婚・出産を経てバリバリ働きながらの自身の育児に悩む。
常にイライラし子どもに八つ当たりをする毎日から変わろうと子どものことを学び始めたところ育児が楽しく、そして楽になった。
その経験をもとに幼児教室を立ち上げ、これまで約50年、5万にを超える親子を指導。現在これまでのノウハウを体系化し、すくベビ主催パパとママのための子育てスクールをオンラインて提供中。
著者に『子育てに成功するお母さん、失敗するお母さん』(文芸社)などがある。
(noe:【すくベビ主催】子育てスクール生実績)
①子どもに起こっているテレビの弊害とは
仕事柄たくさんの親子に接していますが、近年身体の発達は順調なのに、言葉が遅く、些細なことで癇癪を起こす、友達と自分を比較しできないことにすぐに腹を立てる、友達と仲良く遊べない、このような子どもたちが増えています。
また、話をしても視点が合わない、表情が乏しい、集中力がない子どもも増えています。
私個人の経験ではありますが、昔からテレビ漬けの毎日を送っている子ども達に一定数このような子どもはいましたが、様々な電子機器が手軽に視聴できるようになったためかこのような子どもが年々増加をしています。
そのようなご家庭に普段どのように時間を過ごしているか聞いてみると、テレビ、スマートフォン、タブレットをたくさん使用し、移動中も車の中でDVDを見せているという共通点が一つ挙げられます。
もちろん様々な理由が他にもありますが、まずはそのようなご家庭にはテレビやメディアとの時間を減らすよう指示しています。
多くの場合、最初は子どもたちは環境の変化に戸惑い、もっと見せろと癇癪をあげることも多々ありますが、テレビやメディア以外の時間を費やす環境づくりを同時に行うことで、子どもの年齢が低ければ低いほど子どもたちは徐々に新たな楽しみを見つけてテレビから距離を開けることができるようになります。
①2歳未満であれば言葉の遅れはすぐに取り戻せるが、3歳以降は難しい
2歳未満であれば環境を整えることで比較的簡単に言葉の遅れなど取り戻せますが、3歳を過ぎると徐々に難しくなります。
理由は様々ありますが私があげるのであれば以下3つです。
- 脳は3歳までに約80%完成するから
- 成長と共に体力が付き、体重が重くなり手が追えなくなるから
- 3歳以降、出来ないことを経験することで子ども自身の自尊心が損なわれる
1つずつ説明しますね。
①脳は3歳までに約80%完成するから
脳は3歳までに約80%完成するということはご存じでしょうか。
3歳まではお話したり自分の意志を表現することはまだ難しい年齢ですが、子どもたちは見たもの、聞いたもの、感じたものを全て脳に吸収していきます。
三つ子の魂百までなどという諺(ことわざ)もありますが、この時期の環境がその後の子どもの人生にも大きく影響することが近年の研究でもわかってきています。
このような話をするとお勉強? お受験?と考える方もいますが、それだけではなく生活習慣、思考、味覚など全て含んで人生の基盤が3歳までに出来上がります。
テレビを見るという習慣もその前であれば簡単に是正できます。
②成長と共に体力が付き、体重が重くなり手が追えなくなるから
二つ目は子ども自身の体重が重くなり、簡単に抱っこして移動したり、物理的にメディアから遮断することが難しくなるからです。
また同時に自分の意志を主張し始める年齢でもあるので、子どもが納得する理由がなければ子どもは大きく抵抗します。
これはあくまで私たちが運営するスクールでのデータにはなりますが、近年年中さんごろになり、言葉の遅れ、情緒の不安定などに困ってから駆け込んでくる親御さんも多いのです。
しかし、そのような親子を見ていると、今までテレビ、スマートフォン、タブレット見放題が突然一方的に禁止にされると、子どもは癇癪を起こします。
今まで良いとされていたものが、突然ダメになり、取り上げられたら誰でも癇癪を起こします。
そして、子どもの癇癪に親が根負けしてまたテレビやスマートフォンを見せるという悪循環に陥る親も少なくありません。
③3歳以降、出来ないをたくさん経験することで子ども自身の自尊心が損なわれる
3歳以降になると、成長の過程で子どもが自分と他人を比較し始めます。
友達は当たり前にできることが自分にはできないとわかると、子どもたちの自尊心が損なわれます。
言語の遅れとなると、3歳以降多くの面でできないことが表面化していきます。
子どもは自分の意志や思いを表現したいと思っています。
しかし、すべき手段がないのであればストレスフルな毎日となり、結果癇癪という表現で自分を表します。
このように、3歳以降でも遅くはありませんが、親子共に根性が必要になってきます。
②テレビは2歳未満の子どもには一切必要ない
日本小児科学会では、
- 2歳未満はテレビの視聴を控えるように
- 2歳以降では1日1時間〜2時間 なおかつ1回の視聴は30分まで
アメリカ小児学会では、
- 2歳未満はテレビの視聴を控えるように
- 2歳以上で1日1時間
このように警告をしています。
それぞれの日米の小児科学会では1時間から2時間とのことですが、質の良い番組であることが前提です。
具体的に質の良い番組とはなんでしょうか。
様々な定義がありますが、私がおすすめする乳幼児に良い番組の定義とは、
- 子どもが一方的に情報を受け身にならず体を動かしたりするパートが含まれているもの
- 親子で一緒に楽しめるもの
です。
ある研究では、2歳以降1日最大4時間までは視聴しても言語に関しては問題ないというデータも出ていますが、個人的には長過ぎると感じます。
なぜならテレビやスマートフォンなどの電子機器は言語以外にも子どもに様々な影響を及ぼすからです。
今、小学校入学以降、板書ができない、国語などの教科書の文字を追えない子どもたちが増えていることをご存じでしょうか。
握力の低下などもありますが、黒板を見た後、自分のノートを見るとどこを見ていいかわからなくなる、教科書を読んでも1行目の後2行目ではなく5行目など行を飛ばすなど、視力の良し悪しではなく眼球が上手に動かせない子どもたちが増えています。
それはなぜでしょう?
③テレビ画面はできる限り大きいものを選ぶ
外遊びの減少などもありますが、スマートフォンなど画面が小さいものを凝視しているからです。
小さい画面に1点に長い間集中し、眼球を動かす必要がありません。
そのような時間が長時間続くと、子どもたちの脳は目を使う必要性を感じず、眼球機能がどんどん退化していきます。
本来子どもたちは起きている時間帯は、目や手・脳と全身をフルで使う必要があります。
スマートフォンなどはどこでも手軽に、そして無限に視聴でき、見ている間は体を使う必要がありません。
年齢が上がるにつれてゲームやYoutubeなどの視聴もしたいと子どもたちが言ってくるかもしれませんが、もし許可をするのであればできる限り大きい画面の電子機器を使いましょう。
具体的には画面サイズの大きい、テレビ>タブレット>スマートフォンです。
それ以外にもタブレットのペアレンタルコントロール機能。
Youtubeを視聴するのであれば、広告などをカットしてくれるYoutube kidsなどの無料アプリの導入なども検討しましょう。
またできる限りスマートフォンなどの使用は年齢が大きくなってからにしましょう。
④メディアとの上手な付き合い方注意点とその対応
それでは、既にテレビを見せてしまっているご家庭の方々は、具体的にメディアとどのように付き合えばいいのでしょうか。
おすすめは次の5つです。
- まずはスマートフォン、タブレットなどを目に見えるところから撤去する
- テレビ以外の絵本など面白いものを目に見えるように設置する
- 普段からレコーダーに番組を撮り溜め、1本ずつ見せる
- すでに子どもが自分でテレビをつけるようであれば、アンテナ線を抜き「テレビが壊れてしまった」と伝える
- google cast、amazon fire tv stickなどを使い、許可制にして決まった時間だけ視聴する
1つずつ説明しますね。
①まずはスマートフォン、タブレットなどを目に見えるところから撤去する
子どもが小さい場合は、スマートフォン、タブレットなどを目に見える場所から撤去しましょう。
様々な考えがありますが、便利なものを知らなければ欲しがることもありません。
特に親が使っているものは子どもたちにとっては魅力的でしかありません。
そのため、しかたない場合を除き電子機器を使うのであれば、子どものいない場所・時間に使用しましょう。
②テレビ以外の絵本など面白いものを目に見えるように設置する
一度お家の中、移動中の車の中を見回してみましょう。
テレビ以外に子どもが興味を示すものが身の回りにあふれていますか。
子どもは好奇心の塊です。
子どもの好奇心を満たすものであれば、テレビ以外でもすぐに興味を持ちます。
絵本、図鑑、おもちゃなどご自宅の目に見える場所にはありますか。
また移動中の車の中もDVDではなく知育ソングなど流してみてはいかがでしょうか。
③すでに子どもが自分でテレビをつけるようであれば、アンテナ線を抜き「テレビが壊れてしまった」と伝える
子どもが一人でテレビの電源を入れてしまう習慣ができあがっているのであれば、アンテナ線を抜き「テレビが壊れてしまったの」と伝えるのも一つの方法です。
テレビ以外の知的好奇心を満たすものを提供しましょう。
④普段からレコーダーに番組を撮り溜め、1本ずつ見せるまたは、google cast、amazon fire tv stickなどを使い、許可制にして決まった時間だけ視聴する
テレビは自由に見るものではなく、親に許可制で見るものというように仕組みを作ってみるのもおすすめです。
普段からテレビ番組をレコーダーに撮り溜めておく。
テレビのアンテナ線を抜いてもインターネットが繋がっているのであればgoogle castやamazon fire tv stickなどを使い、Tverなどを利用しましょう。
このようにして、みたい番組を許可制でみさせる。
このような環境づくりもときには必要です。
まとめ
これまでテレビの有害性についてお伝えしてきましたが、このようなお話をすると、「なにもそこまで・・・」と言われる方もいます。
テレビがあっても問題なく子どもが発達していたり、子どもがさほどテレビやYoutubeに興味がなければいいのですが、すでに中毒になっている、またはこれから子どもの環境を作るのであれば上記の方法はおすすめです。
子どもの成長、発達においては、大きくなってからとりこ戻すことは物理的にも、親子の関係からみてもとても難しいからです。
ある程度大きくなり、発達に問題ないのであれば徐々に解禁してみはいかがでしょうか。
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参考サイト:https://www.aacap.org/AACAP/Families_and_Youth/Facts_for_Families/FFF-Guide/Children-And-Watching-TV-054.aspx