本屋にいくとたくさんの幼児向けのプリントが並んでいます。
そんなプリントを前に「いつから知育プリントや学習プリントを始めたらいいのだろうか?」と悩む方も多いのではないでしょか。
結論から伝えると鉛筆を握れるようになり、丸がつけられるようになったら開始しましょう。
子どもの発達には個人差があるので一概に言えませんが、一つの目安として3歳前がおすすめです。
なぜなら早く始めることでプリント学習=勉強ではなく、おうちでの暇つぶし、楽しみの一つに繋がりやすいからです。
ただし、突然その年齢の子どもたちに「明日からプリントをやるわよ!」と言っても子どもとにも準備が必要です。
それでは具体的に家庭では子どもと事前にどのように過ごせば勉強が得意になるのでしょうか?
ポイントは3つあります。
- 小さい頃から親子で一緒に机に向かう習慣がない
- 子どもの遊びが足りていない
- 親が勉強しなさいと言ったり強制する
以上の3つです。
一つずつ説明しますね。
①小さい頃から親子で一緒に机に向かう習慣がない
勉強ができない子になりやすい家庭の特徴の一つ目は「小さいころから親子で一緒に机に向かう習慣がない」です。
みなさんのご家庭では食事以外の時間に親子一緒に机に向かう習慣はありますか?
子どもは親の鏡という言葉がありますが家庭において子どもは親の姿を見ながら成長していきます。
子どもたちは自分で自立するために親を真似ようとしているのです。
そんなとき、親がテレビやスマホを見て笑っていたら子どもも机に向かおうという気にはなれません。
なので一緒に膝と膝を合わせて机に向かう時間を設けましょう。
その習慣が身につくことで子どもは一人で勉強ができるようになります。
そのように保護者に伝えると、
「でも、まだ子どもが小さいので何をすればいいのかわからない」
「親も勉強しなきゃいけないの?」
このように悩む方も多いです。
まだ子どもが1歳、2歳と小さいのであれば机に向かっておもちゃで遊んだりお絵描きや迷路など子どもがそのとき興味を持っているものに取り組みましょう。
親はその間子どもと一緒に机に向かい、読書をしたり家計簿をつけたり仕事をしたりと
毎日の雑務を一緒の机でこなします。
ポイントは親が何かしている姿を子どもに見せることであり必ずしもデスクワークでなくとも大丈夫です。
子どもの目の届くところで夕ご飯の準備でも構いません。
そしてもし子どもが
「ママ〜」
と声をかけてきたら一度作業を中断して
「なあに?どうしたの?」
と子どもの話を聞いてあげましょう。
この毎日の習慣がその後の勉強が好き・嫌いにつながっていきます。
我が子が勉強が苦手で困っていると相談にこられる親の共通点として
「小学校1年生になったから机で一人で勉強しなさい」
と突然子どもに指示を出します。
しかしそれまで椅子に向かって何かに取り組む習慣がなかったのに突然そのように指示されても子どもたちは急に出来るようにはなりません。
そのため1歳から2歳ごろから
- 椅子に座る習慣
- 机に向かう習慣を
これらを身につけておきましょう。
「小さいころから親子で一緒に机に向かう習慣を身につけてください」
というと
「小さい子は長時間椅子に座れないけれども、どうすればいいのでしょうか?」
とよく相談をいただきます。
1歳から3歳のお子さんであれば取り組むものによっては短くて数十秒から数分のこともありますし集中していれば長時間座って作業に取り組むこともあります。
要はそのときによって異なるので椅子に座る「1回の時間」ではなく「回数」に注目することがコツです。
その日1回でもいいので椅子に座る機会があったのか、そのようなスタンスで取り組みましょう。
また「机に向かう時間はいつがいいのでしょうか?」という相談もよく受けます。
子どもが遊んでいるのに
「さあ、椅子に座ってお絵描きしてね」
と言っても不機嫌になるだけです。
そのため子どもに机に向かわせたいのであれば、何かとセットにしてしまうという方法がおすすめです。
例えば
- 夕ご飯を食べたら一緒に机に向かって遊ぶ
- お風呂に入ったら机でに向かう
このように何かとセットで導線を作ることで無理なく習慣化されます。
小学校に入学したから、年を重ねてお兄さん、お姉さんになってきたから突然椅子に座れる訳ではありません。
乳幼児期のころから椅子に座る、机に向かう習慣に慣れておきましょう。
②子どもの遊びが足りていない
子どもたちは勉強を始める前に遊びからさまざまなことを学ぶ必要があります。
学びと言うと多くの方がプリントワークなど机に向かってガリガリ勉強する姿をイメージしますが、それだけでは子どもたちにとって不十分です。
ではなぜプリントワークなどの勉強をする前に遊びが重要なのでしょうか?
それには3つ理由があります。
- 遊ぶことで五感が刺激され脳の発達が促されるから
- 遊びを通じて体をコントロールできる筋肉や体幹が鍛えられるから
- 遊びを通じてさまざまな概念を学ぶ必要があるから
一つずつ説明しますね。
①遊ぶことで五感が刺激され脳の発達が促されるから
五感という言葉を聞いたことがありますか?
五感とは目、耳、鼻、舌、肌を通じた刺激のことをいいます。
簡単に言えば目から見えたり耳から聞こえる情報のことです。
これら五感は刺激されることで子どもの脳が刺激されると言われています。
勉強をするには「頭」つまり「脳」を使います。
乳幼児期は急速に脳が発達する時期なので、この時期に五感を通じてたくさんの刺激を受けることで脳の発達が促されます。
遊びにはこれら五感を刺激する効果があります。
例えばどろやねんどでの遊びは遊びながらベタベタ・ドロドロなどの感覚が味わえます。
これらの感覚は脳に良い刺激を与えますのでたくさん取り組みましょう。
②体をコントロールできる筋肉や体幹が鍛えられるから
今姿勢が悪い子どもが増えていますが長時間椅子に座るにも上手に鉛筆を使うにも自分の体を思った通りにコントロールできる必要があります。
外遊びを通じて走ったりジャンプしたりといった活動は子どもの筋肉を鍛えます。
なので意識して外遊びにたくさん取り組みましょう。
③遊びを通じてさまざまな概念を学ぶ必要があるから
子どもたちは遊びを通じて
- 形
- 大小
- 早い遅い
- 冷たい熱い
- 高い低い
などさまざまな概念を学んでいます。
概念にはたくさんの種類がありますがここでは1つの例として足し算・引き算の基礎である
「増える・減る」について取り上げます。
例えば子どもはどろ遊びをしながらどろ団子を作ったりします。
そしておままごとをしながら
「お団子ひとつ食べちゃった。もぐもぐ」
といいながら作ったどろ団子を壊して
「3つあったのに、残りは2つになっちゃったね」
とこのように遊びながら自然に増える・減るという概念を学んでいます。
そして遊びを通じて何度も繰り返すうちに増える・減るという概念を理解していくのです。
そういった遊びをたくさんしてすることで「1 + 1=2」といった計算問題の意味がわかるようになります。
私が接してきた多くの勉強が苦手と感じている子どものご家庭では、
「もう◯歳になったから、そろそろ計算ぐらいしなきゃだめよ」
と焦って突然計算問題などのプリントワークを反復練習させて覚えようとさせます。
特に0歳から6歳の子どもたちは記憶力がいいので「 1 + 1は?」と聞かれたら「2」と書けばいいと簡単に覚えてしまいますが、概念や問題の意味を理解していなければ後ほど勉強につまづく原因になります。
- 数字が書けること
- 問題に答えられること
- 問題の意味がわかっていること
これらは全て同じように見えて全て違う能力です。
例え文章問題でひらがなが読めても問題の言っている意味がわからなかったり概念が育っていなければ問題を解くことが出来ません。
問題を読み何を聞かれているか理解をし問題を解く。
たったこれだけに見えるかもしれませんが、子どもにとっては文字が読めないといけないし、数字が書けないといけないし、そもそも文章問題で問われている意味を理解するには実体験による想像力がなければいけません。
文字が読めるから問題を理解している訳ではありません。
そのため、乳幼児期から多種多様な遊びをたくさん経験して色々な概念を育んで欲しいと思います。
そして十分な体験をし概念を育んでからプリントワークに取り組みましょう。
プリントワークを始める一つの目安として、2歳ごろから丸が書けるようになったらたくさん遊びを通じて脳を刺激しつつ子どものペースにあったプリントワークを始めましょう。
③親が勉強しなさいと言ったり強制する
親はつい口頭で「勉強しなさい!」と言ってしまいますが、実は口頭で勉強しなさいと言ってもあまり意味はありません。
むしろ逆の効果になる場合もあります。
それではなぜ親はつい
「早く勉強しなさい」
と子どもに言ってしまうのでしょうか?
これには親側と子ども側の二つの視点に立って考える必要があります。
まずは親側の視点で考えてみましょう。
家庭によってさまざまなケースがありますが、親がつい勉強しなさいと言ってしまう理由の1つとして親が勉強に対して苦手意識をもっており我が子にはそうなってほしくないから
という理由が挙げられます。
親は自分の過去を振り返りつい口頭で「勉強しなさい」と言ってしまいますが、子どもたちがこれから勉強を楽しく感じるか苦しく感じるかは誰にもわかりません。
もしかしたら親は勉強が苦手でも子どもは勉強が好きになるかもしれません。
親は自分のこれまでの経験を子どもに押し付けないように注意する必要があります。
また「早く勉強しなさい」とつい口頭で言いたくなりますが、実はこのように指示・命令を出されると人は逆の心理が働くと言われています。
好きなものでも人から押し付けられると嫌になるものです。
なので言葉で言ってもあまり意味がないのです。
次に子どもの視点に立って考えてみましょう。
なぜ子どもはスムーズに勉強に取り組まないのでしょうか?
これもさまざまな理由があるかと思いますが、ここでは3つ取り上げます。
①勉強している内容がわからなくて不安を感じているから
子どもの脳は発達の途中のため、一度や二度言われたり経験したぐらいでは理解できないことがたくさんあります。
そのため子どもは
「できなかったらどうしよう」
と不安を感じているかもしれません。
そのような場合は勉強に取り組む前に
「何かわからないことがママに言ってね」
と一言言われるだけで子どもたちは安心して取り組めるようになります。
また子どもがわからないときは言葉ではなく、ものを使って説明すると目からの情報も加わり子どもたちも理解しやすくなります。
②心も体も成長中の子どもはすぐには気持ちを切り替えること難しいから
私たち大人もテレビで面白いドラマをみている最中に
「早くこれやって」
と中断されたら
「ちょっと待って!これ見終わってからやるね」
と答える方も多いのではないでしょうか。
子どもも同じように何かに夢中になっているとき、突然気持ちを切り替えることが難しいのです。
例えば子どもが今大ブーム中の大好きなプラレールで遊んでいるのに突然ママがやってきて
「早く勉強しなさい」
と言われても中断できません。
それではどのように対応すればいいのでしょうか?
このような場合の対応策は大人も子どもも変わりません。
我々大人も事前に
「そのドラマ見終わったらこれやってね」
とこのように言われたら素直に納得できるように、子どもたちにも
「プラレール遊びが終わったらお勉強しようね」
とあらかじめ伝えておきましょう。
私たち大人も事前に言われたら心の準備ができるように子どもも事前に言われたら準備ができるものです。
ただし子どもの場合は絶賛大ブーム中の遊びはいくら待っても終わらないこともあるでしょう。
そのような場合、親から見てそろそろいいかなと思ったら
「じゃあ、あの時計の針が12になったらお終いにしてお勉強しようか」
と枠組みを設定をすることもときには重要です。
このようにあらかじめきちんと理由や親の思いを伝えることで子どもたちも気持ちを切り替え勉強に取り組めるようになります。
早めに伝えるように親も心がけましょう。
③子どもも理由がわからないから
先日私が運営するスクールのレッスンにきた子どもが
「今日はやりたくないよ」
と泣きながら入室してきました。
その子に
「どうしたの?何か嫌なことがあった?」
と聞いたところ、
「私もなんで嫌なのかわからない」と
泣きながら訴えてきました。
大人である私もときには気分が乗らないこともたくさんありますし、後回しにしたいなと感じる日もあるように子どもだって理由がないけれども勉強したくない日があっても当然です。
特に0歳から6歳の子どもであれば、気分が乗らないときは無理して勉強する必要はありません。
多くの親が習慣になるよう毎日完璧にこなさなければいけないと考えますが、この時期の子どもたちは最初のうちは1週間のうち3日か4日できれば十分です。
5~6割できていればいずれは習慣になっていくのでぐずったりできない日は思い切って休む
気持ちでゆるく長く子どもに寄り添いましょう。
指示や命令で無理やり子どもに勉強をさせることも親なら出来ますが、そのように育った子どもは注意する人がいなくなったときに糸が切れた凧のように崩れていってしまいます。
今あげた3つ以外にもさまざまな理由がありますが子どもを観察する習慣を身につけ
「勉強しなさい!」
以外の言葉を探してみましょう。
まとめ
我々親はつい心配や不安から勉強としてプリントワークをたくさんさせようとしますが、子どもたちにはそれ以前に学ぶことがたくさんあります。
習慣としてプリントワークをすることは悪いことではありませんが、それだけでは習得できない学びを遊びなどを通じて学ぶ必要があります。
家庭でどのように幼少期過ごしてきたかで勉強が得意・苦手になるかにつながっていきます。
一度家庭での時間の過ごし方、子ども接し方を見なおしてみてはいかがでしょうか。